「さよなら」そう言って笑って

だから僕はお笑い感想家として生きていく

「和牛」さんについて考察

今回は敢えて、お笑い好きでなくても知っている和牛さんについて、紹介ではなく、考察していきたいと思った。

和牛さんは、よしもと所属の水田信二さんと川西賢志郎さんからなるコンビだ。

賞レースの実績として多くの人に残っているのは、M-1グランプリ2015年から2018年までの4年連続ファイナリストであり、かつ2016年から3年間、準優勝であると言うことだ。

私もこういったブログをやっている身であるので、よく他のお笑いについてのブログやニュースを見る。そこで書かれているのは、「伏線回収が凄い、川西さんの女形が可愛い」といったことだ。

しかし、私はお笑い感想家を名乗っている以上、別の切り口で和牛さんの分析をしてみたいと考えた。そこで、まずそれらのネタの議題を振り返ってみた。

2015年「結婚式場を抜け出したら」

2016年「彼女の手料理」(敗者復活戦)

「ドライブデート」「お祭りデート」

2017年「ウエディングプランナー」「旅館」

2018年「ゾンビ」「オレオレ詐欺

まず2015年の「結婚式場を抜け出したら」は、水田さんの「屁理屈」と川西さんの「女形」がメインの議題だった。これは、2014年にTHE MANZAIで評価された「屁理屈」を持ってきたと推測される。

次に2016年の議題は、「デート」が3つ(彼女の手料理は自宅デートと推測)なのが興味深い。これは、2015年の川西さんの「女形」が評価されたことと、3つのネタにストーリー性を持たせようとしたと考察した。

2017年は、「ウエディングプランナー」と「旅館」が議題だった。両方の議題とも川西さんの「女形」があり、かつ「伏線回収」の要素が強いものである。特に私は、「ウエディングプランナー」の伏線回収は素晴らしいと当時、TVを見ながら感じていた。また、「旅館」は泊まりたい、バカにしたい「客」と帰ってもらいたい「中居」さんの「対立」の要素があるということも面白い。

2018年は、「ゾンビ」と「オレオレ詐欺」の議題でネタをしていた。1本目の議題「ゾンビ」は、川西さんの「女形」の要素を消し、多少「屁理屈」の要素を入れつつ、当人同士の設定で行なっていた。ここでは、割と序盤はスローペースだったが、どんどんとギアを上げ、「伏線回収」も入れながらネタを披露した。その結果、しっかりファイナルに駒を進めた。そして、2本目の議題「オレオレ詐欺」では、川西さんに「女形」の要素を入れ(オレオレ詐欺なら、「父」でも成立はする)さらに、「対立」の要素を加えていた。

ここまで、和牛さんのM-1のネタを分析して、「女形」「伏線回収」「対立」の要素があることが明らかになった。さらに他の要素がないかを調べるため、他の賞レースでのネタを分析することにした。

キングオブコント2010 準決勝「道案内」
キングオブコント2013 準決勝「公園」
第35回ABCお笑いグランプリ 第3位「宇宙人」
キングオブコント2014 準決勝「公園」

まず、キングオブコント2010での議題「道案内」は「京都の道案内を頼んだ相手が外国人」というものである。私は、このネタは「オサレもん」という番組で見たが、水田さんが外国人役かつツッコミという珍しい形だったと記憶している。

また、第35回ABCお笑いグランプリでの議題「宇宙人」は「宇宙人の仲間であるイカを食べられ、怒った宇宙人が地球を壊滅させ、やりすぎたため、宇宙人の娘とともに地球を復興させろ」というものである。そして、このネタは、ストーリーがドラマチックなものだったと記憶している。

そして、キングオブコント2013、2014年の議題は「公園」。このネタはYouTubeにあがっていたり、おもしろ荘やオールザッツ漫才で披露されていたりするため、覚えている人も多いだろう。和牛のコントでの鉄板ネタである。

さて、これらを分析して私は1つの法則性に気がついた。それは、「設定の馬鹿馬鹿しさ」だ。「道案内」には、「普通、道を(しかも京都なら特に)外国人が聞くのに、逆に聞かれる」、「公園」には「喧嘩を老人たちがする」という馬鹿馬鹿しさがあり、「宇宙人」は言わずもがな、設定が馬鹿馬鹿しいと言えるだろう。

そして、この「設定の馬鹿馬鹿しさ」はM-1ネタの中にも出ているケースがあると考えた。それは、2018年の2つの議題だ。ゾンビになるはずもないのにゾンビになったときのことを考える「ゾンビ」、親がオレオレ詐欺に引っかからないように予防する目的でオレオレ詐欺を仕掛ける「オレオレ詐欺」。両方とも設定が馬鹿馬鹿しいと言えないだろうか?

また、他にも自分がドラキュラではないかと心配する「ドラキュラ」や地球侵略した宇宙人と男の性「おっぱい星人」との掛け合い「おっぱい星人」の議題も「設定の馬鹿馬鹿しさ」に溢れるネタに感じる。

以上のことから、和牛さんのネタには、「女形」「伏線回収」「対立」そして、「設定の馬鹿馬鹿しさ」があると考察した。そして、和牛さんは来年のM-1こそ優勝したいと思っているに違いないだろうし、それを多くの人が望んでいると思う。私もその1人だ。そして、私はそれと同時に来年の和牛さんは、これらの要素のうち、どれで勝負するのか、それとも新しい要素を発見するのかという点でも見てみたいと思う。

最後にこのブログを読んだ皆さんも、和牛さんのネタをたまには、「この要素があるな」という観点で見てもらえたら嬉しい。